ボルボEX30 UltraのフロントビューボルボEX30 Ultraのフロントビュー。ボルボの現行ラインナップの中で最も小さいが、動力性能は最も高い Photo by Koichiro Imoto

「日本で最も売れている輸入EV」(1~4月累計販売台数)として注目されるボルボ「EX30」。実際はどんなクルマなのだろうか?東京を起点に北東北を1800km周遊し、徹底考察!電気自動車の難点である充電と航続距離の課題に対しても、真正面から超マニアックにレビューする。【前後編の前編】(ジャーナリスト 井元康一郎)

「日本で最も売れている輸入EV」は
超円安時代にかなりお買い得な欧州車

 世界的に電気自動車(EV)の販売減速が話題となる中、今春に顧客への引き渡しが本格的に始まったバッテリー式電気自動車(BEV)、ボルボ「EX30」が気を吐いている。

 グローバル販売は目下、月間1万台超のペース。2023年のグローバル販売台数が70万台という小規模メーカーのボルボにとって、決して小さくない数字だ。最も販売が好調なのは欧州市場で、欧州ブランドのBEVとしてはフォルクスワーゲン、BMW、プジョーなどを抑えて首位に立っている。6月のBEV総合ランキングを見てもEX30より上にいるのはテスラ「モデルY」のみという状況だ。ボルボの今年1~6月の世界販売は38万8000台で、このままいけば年間80万台を視野に入れる勢いであり、躍進の最大の原動力がこのEX30なのである。

 EX30は欧州とほぼ同じタイミングで日本にも投入された。販売価格559万円は欧州価格の付加価値税を10%に置き換え、1ユーロ=125円の為替レートで計算した額と同水準である。7月10日時点のレートが1ユーロ=174円台であることを考えるとかなりの大盤振る舞いだが、BEVの販売が低調な日本市場の特性を考慮して、戦略的な価格設定を行ったものと推察される。

 そんなEX30、実際はどんなクルマなのだろうか。商品特性を検証するため、長距離ロードテストを行ってみた。ルートは東京を起点とした北東北周遊で、総走行距離は1805.7km。道路比率は市街地2、高速4、山岳路を含む郊外路4。気温は2~27度とやや変動が大きめ。1~3名乗車、エアコンはAUTO設定。

次ページ以降では、下記を詳しく解説します。
1、車格はレクサスHV「LBX」とほぼ拮抗も、技術面は中国・吉利×ボルボの混血!?
2、日本仕様は大容量バッテリーを積み公称航続距離は560km
3、一言で表すと「高性能タイプの中大型BEVを小さいサイズにコンデンスしたようなクルマ」
4、「所有」「運転」「移動や使用」の楽しみのうちEX30は流行と逆張り!我が道を行く
5、「クルマの存在感を消し去るようなチューニング」ボルボの狙いと、2泊3日ドライブ旅行の感想は?