次に、投資活動によるCFです。投資を行えばマイナスです。財務活動で調達した資金を投資していることがよくわかります。

 最後に、営業活動によるCF(キャッシュフロー)とは、本業におけるお金の出入りをまとめたものです。したがって、当然プラスが望ましいです。投資した資金を回収するのはまさにこの項目です。Li Autoの営業CFは2020年から爆発的に伸びています。投資した資金を回収できているということです。

中国の新興EVメーカーは
最終的に儲けることができるのか

 それでは、Li Autoは最終的に儲けることができるのでしょうか。中国国内でのEV市場が拡大するならば、順調に営業利益が増えていき、このプロジェクト全体で儲けることができそうです。

 ただ、このところの中国の不景気による市場の縮小と、その中での激しい安売り競争が不確実性の要素です。安売り競争が激化して、販売台数が伸びないと投資した資金が回収できずに、最終的には儲けたと言えないことになる可能性もあります。

 他の2社についても少し見てみましょうNioとXPENGはLi Autoに比較して、売り上げの伸びがそれほどではありません。また、営業利益はどんどん悪化しています。研究開発に巨額のお金を投じていますが、それだけのお金を回収できるかどうかはわかりません。営業によるCFがプラスになったり、マイナスになったりしているのは不安定要因です。中国のEV市場の伸びが止まれば、事業の継続は難しくなる可能性があります。

 今回は、ビジネスパーソン読者に向け、ビジネスが「本当に儲かっているかどうか」を見極める目を養うためのヒントを、中国のEVメーカーを例に出して、お伝えしました。ぜひ、お仕事で役立てていただければと思います。

(早稲田大学ビジネススクール 清水信匡)