二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!#10Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

7月末から8月5日にかけての「歴史的急落」後も乱高下が続く日本株。今年は「新NISA元年」だけに初の暴落にパニックになった個人投資家も多いが、今後はどうすればいいのか。実は日本株には、円高、米大統領選挙など不安要素がある一方、実質賃金の増加、ガバナンス改革などプラス材料も少なくない。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#10では、トップストラテジストが最新事情を踏まえて今後の投資戦略を徹底分析。円高でも業績を伸ばす業種、さらには注目銘柄も明らかにする。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

暴落局面では海外投資家からの
問い合わせが増加した

 日経平均株価は7月11日に史上初めて4万2000円を突破した後、わずか16営業日で27%も下落、8月5日には史上最大の4451円の下げ幅を記録した。

 9月17日時点の日経平均は底値からは反発しているものの、米ドル円は140円ほどまで円高が進行している。米国景気の失速が観測される中、米大統領選挙など不透明な要素も目立つ。

 一方、国内を見ると「実質賃金の増加」などポジティブな要素も少なくない。「賃金の増加は労働力の逼迫が根底にあり、生産性向上が不可欠であるということがこの2年で企業側にも定着してきた。円高についても過去5年、10年の時間軸で見れば十分に円安レンジ」(UBS証券の守屋のぞみストラテジスト)だという。

 企業の改革姿勢も日本株を押し上げる。

「今年度の自社株買いは過去最大規模で推移しているが、中間決算のタイミングで、もう一段の自社株買いが期待できる。日本株に投資する海外の機関投資家からも『日本企業の変革』に期待する声は多い」(モルガン・スタンレーMUFG証券の中澤翔ストラテジスト)

 また、米国株と比較すると、日本株は相対的に割安感が強い。8月5日の急落時、日本株のPER(株価収益率)は12倍を割れたが、この水準は「過去の景気後退局面のPERを下回り、明らかに下げ過ぎ」という声も多く聞かれる。実際、急落局面では海外の機関投資家からの問い合わせが増加したという。

 果たして今後はどうなるのか。次ページでは外資系証券のトップストラテジスト3人に今後の日本株について直撃。全体相場の動向だけでなく、注目セクターや投資戦略、個別企業まで具体的に聞いた。

「市場が不安定の中ではミクロの取り組みが評価されやすい」(守屋氏)だけに、今後は銘柄選びが重要になる局面だ。ぜひ投資の参考にしてほしい。