富裕層の海外シフトが進む理由(2)
地政学リスクと台湾有事

 イスラエルを中心とした中東戦争が現実味を帯びる中、石破政権が台湾有事に対応するため、防衛力強化に積極的に動くことが予想されます。今後、日本も地政学リスクにさらされ、国際情勢が緊迫する中で、富裕層が資産を守るために国外へシフトする傾向が強まる可能性は大いにあるでしょう。特に、台湾有事が現実化した場合、日本が戦争に巻き込まれるリスクは避けられません。

 このような背景から、リスク分散を図るために、海外拠点を確保し、必要に応じて移住できる体制を整えることは、特に前述の超富裕層にとって必須の対策となります。そもそも、ビザなしで海外に滞在できる期間は国によって異なりますが、基本的には最長90日です。

 国によっては数千万円で永住権が取得できますし、自分の子どもが戦争に巻き込まれないように海外の拠点づくりに乗り出すということは、お金に余裕があれば当然の動きといえます。日本の避暑地で別荘を持つのであれば、海外の永住権を取得して海外に拠点をつくる(もしくはその両方)というような風潮に変化していく可能性があります。

 実際、2011年の東日本大震災発生直後、初期被ばくを避けるために家族を西日本や海外に一時避難させた富裕層・超富裕層が多かったのは事実です。私のお客様でも、西日本にマンションやホテルを長期間借りて、家族を一時的に避難させた方が一定数いらっしゃいました。