コンサル大解剖メディアの共同取材に応じるA.T.カーニーの関灘茂アジアパシフィック代表兼日本代表 Photo by Akira Yamamoto

戦略系コンサルファームで近年飛躍的に成長しているのが、A.T.カーニーだ。すでに国内の人員数が300人弱に上り、過去5年ではグローバルで2桁成長を続けている。この度、今春にA.T.カーニーのグローバルCEO(最高経営責任者)に就任したボブ・ウィレン氏とアジアパシフィック代表に就任した関灘茂日本代表がメディアの共同取材に応じた。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、両氏の発言を紹介。関灘氏はコンサルバブル崩壊説に「すごいチャンス」と断言。これまでの高成長の背景や、総合系ファームとの大きな違いとなっている「テーラーメード」のコンサルのポイントを明らかにした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本 輝)

A.T.カーニーのグローバルCEO
「カーニーは結果を出すと認識されている」

――A.T.カーニーは過去5年間、グローバルで2桁成長を続けており、日本でも高い成長を続けていますが、その成長の背景や原動力は何でしょうか。

ボブ・ウィレンCEO(以下、ウィレン氏):昨今、テクノロジーの台頭によって企業は自分たちの事業の進め方や組織のあり方などを、今までとは異なるように考える必要が生じています。一方、ディスラプション(混乱)やディスインタミディエーション(仲介者の排除)などのリスクがあると同時に、多くのリーダーたちは、それと同じぐらいさまざまなオポチュニティー(機会)があるとも考えています。特に、テクノロジーについては、テクノロジーを追いかける組織と実際にテクノロジーを活用できる組織との間に大きな差が生まれてきます。

 その中で、カーニーというファームは、インパクトや結果を出してくれる会社だとクライアントからは認識されており、そうした一番の強みが認知され、評価されていることが成長の背景にあると考えています。

関灘茂日本代表(以下、関灘氏):まず、日本市場全体の状況で言うと、GDP(国内総生産)対比でみれば、日本のコンサルティング市場はまだまだ小さいので伸びしろがあります。加えて、日本のいわゆる終身雇用や年功序列といった雇用環境が、コンサルティング市場の拡大を後押ししている側面があると思っています。

――雇用形態が、日本のコンサル市場の成長に影響しているのですか。

次ページでは、関灘代表が、日本市場でコンサルビジネスが成長してきた背景を解説。その上で、A.T.カーニーが持つ他社との機能の大きな違いを明らかにしていく。関灘氏は、他社との差別化のポイントとして、「テーラーメードのコンサル」をキーワードに挙げる。なぜ、それが競争力を持っているのか。また、ウィレンCEOは、2桁成長を続けてきた同社の、今後のグローバル成長目標についても明かした。A.T.カーニーのグローバル戦略と日本戦略の全貌を見ていこう。