半歩先を行く富裕層は
海外シフトでリスク回避

 2000年代初頭、香港・中環(セントラル、東京の丸の内のようなところ)では、香港上海銀行(HSBC)で口座開設する日本人ツアー集団が散見されました。しかし、そのようなブームはパナマ文書やOECDの情報交換制度を契機に一時的に沈静化しました。

 今後、富裕層の間で“海外シフト”が再び活発化することが予想されます。個人的には、今すぐではありませんが、2030年にかけて徐々にこの傾向は強まると考えています。

 超富裕層にとっては、出国税(海外に移住するときに、資産の含み益に対して売却したと仮定して納税しなければいけない制度)などの懸念が依然として存在します。しかし、それでも日本の高額な相続税対策、地政学リスク分散などの観点から、海外移住や海外に拠点を設ける選択をすることが現実的になってきているのです。