いまのあなたの筋肉は、むかしたべた「鳥のからだ」だ。「自分」のからだは、食べもの、つまり「自分以外」のものからできているのだ。

 もっといえば、「鳥」も、「鳥」以外のものでできている。虫とか食ってる。

「虫」も、「虫」以外のものでできてる。草とか食ってる。

「草」も、「草」以外のものでできてる。水とか太陽の光とか。

 この世界は、全部つながりすぎている。ちゃんと観察すると、「これが自分」といえるものが何もないことに気づくのだ。「無我」である。

 もう1個、追い打ちをかけるように、残念でグロテスクな世界の真実をつたえたい。

 いまこの瞬間、おなじ空間に人間はいるだろうか?家、職場、電車、なんでもいい。

 その空間は、みんなのはいた「息」や、なんなら「屁」が循環している。

 考えたくないが、本当は知っているはずだ。われわれは、お互いの、「息」や、なんなら「屁」を、呼吸のたびに、すいこみ、身体に吸収しあっている。

 同じ空間にいるだけで、つねに、みしらぬおっさんとかと、物質を交換しあっているのだ。サッカーのユニフォーム交換のように。そうして出来上がっているのが、いまの身体である。