世界の指導者たちは80年前、米ニューハンプシャー州ブレトンウッズに集まり、国際通貨基金(IMF)の創設を決めた。世界恐慌を引き起こしたような経済的不均衡を防ぐ狙いがあった。現在、不均衡が再び世界の調和を脅かしている。中国の巨額の貿易黒字が反発をあおっている。この黒字について米国は、中国が消費を抑えつつ製造業と輸出を補助金で支援していることで、結果的に貿易相手国に打撃を与えていると指摘。米国はこうした見解にIMFも同調すべきだと考えている。だが、IMFは比較的中立的な立場を取ってきた。中国政府に対しては経済モデルの修正を促す一方で、そのモデルが世界に大きな悪影響をもたらしているとはみていない。米国の指導者らは数十年前、IMFや世界貿易機関(WTO)といった戦後発足した国際機関に中国を加盟させることで、中国は市場経済重視を強め、世界はさらに安定するようになると考えていた。だが現在は逆のことが起きたと考えている。中国は国家主導の専制主義的な経済モデルを強化しており、西側諸国の多くは自国の経済モデルとは相いれないとみている。