儲かる農業 下剋上#12Photo:zhuweiyi49/gettyimages

農協の経営リスクは収益性の悪化だけではない。実は、職員の離職が止まらなくなっているのだ。ダイヤモンド編集部は初めて、各農協の「人材流出の深刻度」でランキングを作成した。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#12では、職員減少率が高い農協を明らかにするとともに、離職者数急増の要因を分析する。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

※2023年4月1日に公開した有料会員向け記事を、1カ月の期間限定で無料公開します。全ての内容は初出時のままです。

“泥船農協”が最後にすがる
債券投資と貸出増の経営リスク

 手っ取り早く稼げる共済(保険)事業にばかり力を入れ、農業振興をおろそかにしてきた農協を憂えているのは農家ばかりではない。近年、職員が農協を見限って大量に離職していることが問題視されている。

 そこでダイヤモンド編集部は初めて「JA人材流出深刻度ランキング」を作成した。

 都道府県別で、職員の減少率が最も高かったのは奈良県だった。県唯一の農協であるJAならけんは職員に過大な営業ノルマを課してきた(JA共済“自爆営業”農協ランキング5位。詳細は本特集の#2『JA共済の不祥事を群馬県庁が「不問」に!共済の“自爆営業”横行を許す悪しき政治的配慮の実態』参照)。

 その上、中出篤伸会長がJA全農の役員の地位を乱用してインサイダー取引を行っていたことが発覚してトップを辞任。職員に無理な営業を強いてきた経営トップが違法行為に手を染めていたのだから、優秀な人材から見限られても仕方がない。

 次ページでは、農協職員数の減少率について、都道府県別と農協別のランキングを大公開。さらに、過度なノルマを持たせた営業推進や将来への不安といった職員の退職理由に迫る。