そして、不登校の児童生徒が教育を受けられるように、教育支援センターや特例校、夜間中学などの設置の促進を訴えている。

 不登校の子どもたちに多様な教育機会を保障するのは大事なことである。だが、このような文部科学省の方針転換が不登校を増加させているとの指摘もある。

 無理して学校に行かなくてもよいと考える親が増えていることは以前から指摘されてきたし、そうした文部科学省の方針転換がこのところの不登校の急増をもたらしているのかどうかはわからない。

 だが、無理して学校に行かなくてもよいのではないか、という保護者がさらに増えるきっかけになったといえそうである。

学校に行かなかったことを
後悔している不登校児たち

 不登校の児童生徒の人数が増加し続けているだけでなく、成人後のひきこもりも増えており、2019年の内閣府による調査では、15歳から39歳よりも、40歳から64歳の中高年のひきこもりの方が多いことがわかり、深刻な社会問題とみなされるようになった。その後もひきこもりは増えており、2022年に内閣府により実施された調査では、15歳から64歳のひきこもり人数は約146万人と推定されている。