ベッドに座る女の子写真はイメージです Photo:PIXTA

小中学生の不登校が24万5000人と過去最多を更新した。コロナ禍の影響なのか、それとも何か別の要因があるのか。自身の教師経験を元に描いた『コミックエッセイ 不登校日誌 教師と保護者による心のサポート術』(廣済堂出版)(以下『不登校日誌』)の著者、観世あみ氏に不登校急増の理由について話を聞いた。(清談社 吉岡 暁)

小中学生の不登校が
初めて20万人超に

 昨年発表された文部科学省の調査によると、小・中学生の不登校が全国で約24万5000人と過去最多を記録した。小学生が約8万人、中学生が約16万人にも上り、「不登校」が20万人を超えるのは初めてだという。この場合の「不登校」とは、1年間で学校を30日以上欠席した児童の数だが、ここに不登校傾向のある「隠れ不登校」の子どもも含めると、その総数はさらに多くなるだろう。

 2010年の不登校児童数は約12万2000人。約10年間で不登校は倍以上に増えており、なかでも過去最多を記録した21年度は、前年度から約5万人増と急激な増加を見せている。

 この急増の背景について、コロナ禍による臨時休校やさまざまな制約によって「生活リズムが乱れやすく、交友関係を築くことが難しくなり、登校意欲が湧きにくい状況だった」と文科省は推測している。急増の背景には、やはりコロナが大きく関係しているのだろうか。

「影響は少なからずあると思いますが、統計を見ると2020年以前から不登校は年々増え続けており、必ずしもコロナのせい、とも言い切れません。不登校になる動機も多様化、複雑化しています。それぞれの事例を見ると『勉強意欲の低下』や『部活や友人関係の悩み』『将来への不安』『倦怠(けんたい)感』など、いくつかの要因が重なっている場合が多いんです」

 そう話すのは、不登校児童の実態を描いたコミックエッセイ『不登校日誌』の著者で、元教師の観世あみ氏だ。観世氏は自身の教師時代の経験を基に、子どもたちの間で広がっている「不登校問題」に向き合ってきた。

「一ついえるのは、昔より不登校のハードルが下がっていること。子どもたちの間で、不登校が身近なものになっているんです。不登校の人数が今よりも少なかった昔と比べ、今は身近な子どもが不登校になるケースが格段に増えています。兄弟が不登校だったり、クラスに不登校が複数人いることが当たり前だったりと、不登校が『よくあること』へ変化してきている印象です」