また、一度断ったら、もう二度と誘われることはありません。
そんな事情もあり、病気のことを説明したくても、理解してくれる人を見つけたくても、そんな話ができる友達はなかなか見つかりませんでした。
また、ほかの学生から「あの人は怖い」と思われがちだったのも、友達作りのハードルのひとつになっていました。大学に入っても、相変わらず、突然のチック症が出ていた僕は、知らぬところで目立っていたようです。
何の予備知識もなく受けに来た講義で、突然叫んだり動いたりする人がいたら恐怖感を抱くのは当然のことです。
担当の先生からは、周囲の子たちから「酒井君はなんだか怖いし、よく叫ぶからうるさい」という話が上がっていると心配され、「どうしたらいいんだろう……」と本気で悩むようになりました。
「3分間だけ時間をください」
の一言が僕を変えた
しかし、悩んでばかりはいられません。
孤立するこの状況を何とか回避するため、僕が思い出したのは、小さいころに自分の病気を積極的に説明していた自分の姿でした。
仮に友達ができなくても、まずは周囲の生徒たちに自分がどんな人間かを知ってもらう必要があるのではないか。なぜ、身体が動いてしまうのか。なぜ、声が出てしまうのかを、知らせておこう。