原稿の直しについて、なかなか納得してくれない人もいます。その場合は、きちんと説明をすることですよね。直しを納得してもらうのは、著者との信頼関係が大切なんです。だから「好きに直していい」という人以外の原稿を、勝手に直すことは絶対にしません。
草下シンヤ 著、大泉りか 聞き手
刊行される本は著者のものなので、著作権という意味においては、著者の責任になりますが、編集が鉛筆(=修正)を入れるのに一言一句「ここをこうしたらいいですか」と確認が必要な著者もいれば、全部こっちに直しを任せて、ほとんど確認もしない著者もいる。著者自身の性格もあるので、しっかりと見てあげないといけないですね。
本当は直されるのが嫌なのに、それが言い出せなくて最後になって爆発する人もいますから。そういうケースで頭を抱えたこともありました。
だから、編集者の仕事としては、やっぱり引き返せるくらいの仕事の幅で進めたほうがいいと思います。一気にやってしまうと、ミスマッチが起きることがある。話が流れちゃうことは珍しくないし、引き揚げられた原稿が、その後に他社から出ることだってありますよ。そういう時は忘れるしかないです。