スキャンダルの渦中、映画祭授賞式に登場
「子どもへの責任を果たす」
スキャンダル発覚以降、チョン・ウソンと相手の女性に対する批判と擁護の声が入り乱れる中、その動向に注目が集まっていた。11月29日に開催された「青龍映画祭」にチョン・ウソンが登場。昨年、自らが主演を務め大ヒットした「ソウルの春」で主演男優賞にノミネートされ受賞を果たしたものの、ステージに上がった彼の顔に笑みは一切なく、緊張した面持ちで映画関係者やファンへの感謝の言葉を述べると共に、スキャンダルについて言及。世論を騒がせていることへの謝罪と、「子どもへの責任を果たす」というコメントを残した。
韓国では離婚による片親家庭が増加しており、最近では珍しいことではなくなってきているものの、「女性が一人で子どもを育てる」ことには、中高年世代を中心にネガティブな印象を持つ者がまだまだ多い。特に「未婚の母」という立場は一層風当たりが強く、社会的偏見が根強く残っている。
今回のケースでは、「子どもが世間の好奇の目にさらされる」「『子どもへの責任を果たす』というのは、金で問題を解決しようとしているようで心象が悪い」「女性ばかりが妊娠出産でリスクを背負うことになる」とチョン・ウソンの対応に批判的な声が目立っている。
世代間で分かれる反応
「親としての責任を果たせば問題ない」
その一方で、Z世代を中心とした若者達の間からは「結婚をしなくとも、親としての責任を果たせば子どもを持つことは問題ないのではないか」と、結婚や出産、養育に対する固定概念に異を唱える声も上がっている。実際に中央日報では今年統計庁が行った社会調査を紹介し、韓国の子どもの20人に1人が婚外子であることや、結婚や出産、養育について、20代の43%が「結婚はせずとも認知、養育といった親としての責任を果たせば問題ない」と肯定的に捉えているとチョン・ウソンの問題に寄せて報じている。
さらに興味深いことに、この問題は世論に留まらず、政界からも発言が相次ぎ、議論が加熱している。野党で左派政党の「共に民主党」の議員は、「相手との関係性の良し悪しにかかわらず、子どもが生まれたから必ず婚姻関係を結ばなくてはならないという考えは息が詰まることであり、偏見だ」と主張。対する与党右派政党の「国民の力」の議員は「時代は変われど、礼を重んじる韓国において国民の情緒は守られるべきだ」と反論するなど、思わぬところで与野党対立を引き起こす形となっている。