ただ、1つだけはっきりしていたのが「金利は緩やかでも上がり続ける」ということでした。そして金利が大きく下がったりゼロ金利に戻ったりすることはないから、金利を中心に投資をすればいいということでした。
確かに内田さんが小学生の頃は、定期預金に預けておくだけで金利は7%ほどつきました。足元ではすぐ当時ほどの水準に金利が上がるわけではありませんが、内田さんはまだ50代。10年、20年と長期的な視野に立てば、金利は少しは上がっていく可能性もあります。
安定性が高く、金利上昇でメリットあり
「個人向け国債」という選択肢
とはいえ、金利上昇時には何に投資したらいいのでしょう。実は、このところ市場の金利が上昇したことで、非常に売れているのが個人向け国債なのです。市場の金利に伴い、個人向け国債や定期預金の金利も上昇。そのため、確実に貯めて増やしたい人がにわかに国債を購入し始めているのです。
個人向け国債とは、国がお金を借りるために発行している債券(借用証書)です。半年に一度利子を受け取ることができ、満期になると貸したお金が返ってきます。「固定3年」「固定5年」「変動10年」があります。
「固定3年」は満期が3年後で、その期間は固定された同じ利率です。同様に「固定5年」は満期が5年で、固定された利率です。一方、金利が上がるとすぐに影響が出るのが「変動10年」です。満期までの期間が10年で、購入した後に金利が上昇するとその恩恵を受けられ、利率が上昇します。そのため、個人向け国債を購入している人の7割が「変動10年」を選んでいます。
内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」にて、2030年度に10年国債利回りが2.7%に上昇する成長実現ケースを示しています。2024年10月募集(175回)の金利は0.57%で、11月募集(第176回)の金利は0.65%、12月募集(177回)は0.71%と上がっています。
「たったこれだけ」という印象があるかもしれませんが、近年、アメリカでは国債利回りが急上昇しました。直近では落ち着いていますが、2年間で個人向け10年国債が2%台から4%台まで上がりました。コロナ禍で経済が停滞後、景気が回復し、物価高が再燃したことで、金利が引き上げられたのです。