総予測2025#103Photo by Yoshihisa Wada

日系ラグジュアリーホテル、パレスホテル東京を展開するパレスホテルの業績が堅調だ。2024年のパレスホテル東京の平均客室単価は高水準で推移した。外資系の高級ホテルが日本進出を加速させる中、どう対抗していくのか。特集『総予測2025』の本稿では、パレスホテルの吉原大介社長に今後の市場開拓の戦略について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)

24年春に客室単価は12万円台に
開業ラッシュで高級ホテルも二極化!?

――2024年春にはパレスホテル東京の平均客室単価が12万円台になるなど好調でした。

 24年は宿泊と婚礼、宴会、レストランの4部門がしっかりと売上高を伸ばすことができました。客室単価は年間でも初めて10万円を超えそうです。外国人宿泊客の比率は年間通して7割ぐらい。外国人だけでなく、国内のお客さまのファンもしっかり増やしていきたいと思っています。

――客室単価は新型コロナウイルス感染拡大前の水準を大きく上回ります。

 単価が上がるとお客さまの期待値も非常に高くなります。ただ、価格と価値がずれると、お客さまに敬遠されてしまいます。ですので、本質的な価値を重視しなければいけません。一例ですが、「コーヒーの味の好みを覚えていてくれたね」とお客さまに声を掛けていただくようなことですね。もちろんアメニティーなども変えていきますが、むしろソフトの部分でしっかりと対応していきます。

 25年もラグジュアリーホテルの開業は続きます。ソフトの面での対応によって、お客さまが来るホテルと、なかなか集客が難しいホテルが出てくるかもしれません。

――それはラグジュアリーホテルでも二極化していくと。

次ページでは、吉原氏が外資系ホテルの進出が加速する中で、20年に大阪で開業した宿泊主体の新ブランドを活用した市場開拓の戦略を明らかにする。また、地方進出の考え方や人手不足に対する取り組みなども聞いた。