今年の4月から大阪・関西万博が始まる。建設費の高騰や関心度の低さが課題となっている一方で、半年間の開催で消費額が1兆円を超えるとの試算もある。果たして課題だらけの万博は成功することができるのか。特集『総予測2025』の本稿では、りそな総研が試算した消費額1兆円の内訳を明らかにするとともに、万博開催の意義についても迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
建設費高騰で開催そのものを疑問視
チケット前売り券の販売も低調
2025年4月から大阪市の人工島・夢洲で大阪・関西万博が始まる。ただ、開催が目前となっているにもかかわらず、成功するかどうかよりも、いまだに開催そのものを疑問視する声が相次いでいる。
背景にあるのは、建設費の高騰だ。資材価格や人件費の上昇を受け、1周約2キロメートルの「大屋根リング」を含む会場の建設費が当初想定した金額の1.9倍に当たる最大2350億円に上振れする見通しとなっている。
万博に対する関心度も“低空飛行”が続いている。
三菱総合研究所が24年4月に全国の3000人を対象に実施したアンケート調査によると、開催することを「知っている」と答えた人は93.4%で、23年10月の前回調査から3.8ポイント改善した。
一方、万博に「大いに関心がある」「まあ関心がある」と回答した人の割合は前回より1.9ポイント低い25.6%となった。
こうした事情を反映してか、万博運営費の原資となる前売り券の販売も低調に推移しており、目標の1400万枚に対して、約740万枚(24年12月4日時点)と半数にとどまっているのが現状だ。
悲観的なデータばかり並ぶが、肝心の経済効果は建設費を超える可能性がある。りそな総合研究所は、会期中の消費額だけで1兆円を超えるという試算を出した。
次ページでは、りそな総研の試算額の内訳を明らかにするとともに、今回の万博を開催することの意義について、前回の大阪万博と比較しながら迫る。