自分の「強み」を見つけて
生かしていく

 女性のメイクに例えてみましょう。

 日本人のメイクは、目が一重だったら二重にする、顔を理想の形といわれる「卵形」に近づける、老化でたるんできたところにヒアルロン酸を注入するなど、国内における「美の基準」に合わせようとします。やはり、不足を補うのです。

 しかしフランスではメイクのとき、標準に近づけるのではなく、顔の「欠点」も「美点」も強調するそうです。そうすると非常に個性的な美になるとのこと。表情や動き、髪形など、今持っている素材を生かし、美しさや魅力を引き出せるように工夫するのですね。

スキルや能力ではなく
「人格的な強み」を見出す

 さてここで昇進の話に戻ります。管理職に昇進するような話が来たら、そのイメージの枠に自分を合わせるのではなく、あなたの「強み」を生かしてほしいのです。あなたの強みは何でしょうか。

 ここではスキルや才能、身体的能力ではなく、人格的(性格的)な強みを指します。ポジティブ・サイコロジーでは、肯定的な性格特性を知るためのツールである「VIA(Value in Action)」が開発され、24の性格の強みが特定されました。大きくは6つの分野に分かれ、そこからさらに細かく知ることができます。簡単にご紹介しましょう。

【性格的な強みのVIA(生き方の原則)の分類】
※インターネットでVIA Institute on Characterにアカウントを作成すると無料で測定することができます。

【知恵と知識】知識の習得や利用を伴う認知的強み
●創造性
●好奇心
●判断力と広い心
●向学心
●大局観(知恵)

【勇気】外的、内的反対があっても目標を達成するという意志の発動を伴う感情的強み
●勇気
●忍耐力
●正直
●熱意

【人間性】人の世話をしたり、人と仲良くなることを含む人間関係の強み
●愛情
●親切心
●社会的知性

【正義】健全な地域生活の基盤である市民としての強み
●チームワーク
●公平さ
●リーダーシップ

【節度】行きすぎを防ぐ強み
●寛容と情け深い心
●慎み深さと謙虚さ
●慎重さ
●自己統制

【超越性】宇宙との結びつきを築き、意味を与える強み
●美や卓越するものの認識力
●感謝
●希望
●ユーモア
●宗教心と精神性

 例えば「自分はちょっと引っ込み思案だな」と思っている人が、「忍耐力」や「好奇心」があって「寛容な心」を持っているかもしれません。その場合、これまでは足りない部分、「引っ込み思案」に焦点を当て、直そうとしていたでしょう。それは古いスタイル。

 ポジティブ・サイコロジーでは「引っ込み思案」は放っておき、強みである「好奇心」によって何かの興味に集中する。すると、引っ込み思案が気にならなくなっていく。自分の強みを知り、そこに磨きをかけていけば、ビジネスを含め人生すべての面で良い効果が表れることが科学的にも裏付けられています。