昇進の話が来たら
「給与が上がるか」を確認する

 個人の話に戻ると、あなた自身が、人から許されてしまうほどの「強み」を持つことが大切です。誰しも前述した24の強みの中で、磨きをかけられそうなところがあるはず。まずは内省し、それを知るところから始めましょう。

 最後に、「昇進」の話が来たときに二つの注意してほしいことをお伝えします。

 産業医として多くの企業と関わっていると、最近は管理職に昇進させて「みなし残業」の扱い、つまり残業代を支払わないケースが多いと感じます。管理職に昇進したら、むしろ給与が減ってしまうということですね。しかもある程度の年齢になってしまったから、今から転職も難しいと嘆く人たちがいます。

 ですから一つ目の注意点としては、昇進して給与が上がるのかどうか。昇給するのなら、基本的に昇進の話は前向きに検討したほうがいいでしょう。

仕事内容に興味が持てなければ
ストレスが溜まり壁にぶち当たる

 ただし、仕事内容に興味があるもの、集中できるものがあるかどうかを、一度自身の胸に問いかけてください。これが二つ目の注意点です。単に偉くなりたい、出世したいという思いでは、ストレスがたまり、いずれ壁にぶち当たります。偉くなることのためだけに、こんなに我慢しなければならないのか、となってしまう。もちろん自分の強みを磨くことにもなりません。

 そうではなく例えば好奇心という強みを持つ人が、仕事の中に興味を持てるものがある。だから好奇心を発揮し、向学心が生まれて集中して勉強し、忍耐力もつくという形が理想です。ビジネスで成功するためにも幸福な人生を送るためにも、仕事に集中できる部分があるかが必須なのです。単なる出世欲では長い仕事時間を乗りきっていけませんし、そのような個の集まりでは企業も発展しません。

 一人一人が自らの強みを知り、そこを深め、磨いていく。また企業もその人たちを生かしていくことで、企業も社会全体もドラスティックに成長していくのです。

>>第2回は12月27日(金)に配信予定です