コンサル大解剖Photo by Shun Nakamaru

NECは社内で700人、グループで9000人のコンサル人材を抱え、ITベンダーでありながらコンサル機能を強化している。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、コンサル事業を統括する井出昌浩コンサルティングサービス事業部門長に、ITベンダーならではのコンサル事業の拡大戦略について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

7人で始めた戦略コンサル事業が
2年で200人に超拡大した

――なぜITベンダーであるNECがコンサル機能を強化しているのですか。

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)は経営変革と一体化しています。お客様の抱える経営課題を解決するためには、最上流の領域から入っていかないと意味がありません。

 もともと、2000年代から製造業を中心として、お客様の業種ごとにソリューションを提供するビジネスコンサルという100人くらいの組織はありました。

 一方、お客様にDXを提供するためには戦略コンサルティング機能が必要だ、という問題意識で最初は7人で立ち上げた組織が現在のコンサル部隊の中核になっています。これが2年間で200人に急拡大しました。これらの部隊と、データサイエンティストも含めると、24年現在はNEC社内だけでコンサルティング人材は700人います。

 グループのアビームコンサルティングが8300人体制なので、NECグループで約9000人のコンサル人材を擁していることになります。

――アビームとの役割分担はどのようになっていますか。

 お客様やソリューションごとに異なりますが、アビームが国内で最大規模の専門コンサル人員を抱えて強い、ERP(統合基幹情報システム)のSAPについてはアビームに集約する、などの分担をしています。もちろん共同でプロジェクトを進めることも多いです。

19年以降、急速に最上流の戦略コンサル人材の獲得を強化しているNEC。専業コンサルファームとの差別化ポイントとは。また、同社は25年までにコンサル人材1000人を確保する目標を掲げている。それは実現可能なのか。次ページから、井出氏に明らかにしてもらう。