お盆休みに帰省するという人も多いだろう。親が高齢になってくると気になるのが、今後のお金の話。老後の生活費や相続対策など心配ごとは尽きない。ただ、無策に根掘り葉掘り聞こうとすると、嫌がられてかえってお金の話がしづらくなることもある。老親とお金の話をするときには、気を付けておきたいポイントがある。(ファイナンシャルプランナー 黒田尚子)
親子でお金の話をするときに
やりがちな失敗とは?
親が高齢になるにつれ、気になるのがお金のこと。老後の生活費や病気、要介護状態になったときの費用はもちろん、生前贈与や亡くなった後の遺産相続をどうするのかなど、きちんとコミュニケーションが取れるうちに話しておきたいことはいろいろとある。
中には、親が認知症などで判断能力が低下したことを、離れて暮らす家族が気付かず、詐欺や貴金属などの押し買いといった消費者トラブルに巻き込まれたり、ハイリスクな金融商品に手を出して損失が膨らみ、消費者金融から多額の借金をしていたりしたケースもある。
ただ、「親には親の考え」があるもの。子どもが良かれと思って口出ししたことが不信感につながり、意思疎通が円滑になるどころか、膠着状態が続くことにもなりかねない。
そこで、高齢な親世代とお金の話をする上で、子ども世代が気を付けておきたいポイントをご紹介したい。
年金も預貯金もあまりなさそう……
実家の資産状況が気になって仕方がない!
小宮山修一さん(40代・仮名)は、東京都内で勤務する会社員。出身は北関東で、実家には70代のご両親がお住まいだという。
最近、修一さんが気になっているのは、実家の資産状況だ。
というのも、修一さんの父はずっと自営業で、公的年金は国民年金しかない。夫婦合わせても、おそらく10万円程度ではないか。仕事は数年前に辞めたが、退職一時金などもないし、主な金融資産は、地元の銀行や郵便局に預けている預貯金だけだろう。