難関校併願先がそろうA・Bランク
2月1日午前の入試は、受験者数上位の入試回がもっぱら男子校で占められていることは第206回で触れた通りである。その点、1日午後はだいぶ様変わりする。2024年の受験者数をランキングすると、1位から20位までに男子校は4校のみとなり、共学校が圧倒的に多い。
24年の1日午後受験者数ベスト5は、東京都市大学付属1062人、獨協737人、巣鴨652人の男子校に続いて、共学校の東京農業大学第一474人、構内男女別学校の國學院大學久我山469人となっている。
併願先としての午後入試のメリットは、倍率が比較的マイルドな点にある。難関校への志破れた優秀層の獲得という使命を午後入試は帯びており、歩留まりも考えて合格者数を決める各校入試担当者の腕の見せどころとなる。
Aランクは、二つの入試区分(24年受験者数は合計365人)がある広尾学園[2回] ([ ]内は入試名。以下同)のみで、ここに男子のみならず女子の難関校受験生も殺到している。[本科]は24年に237人が受験、2.79倍(23年3.01倍、22年2.21倍)と緩和したものの、午後入試としてはまだハードルが高いということなのか、志望者数は10月2割減、11月と12月に1割減前後と減少傾向が続いている。128人が受けて2.1倍(23年2.75倍、22年2.58倍)の[インターナショナルSG]は、10月1割半増から11月5割増、12月は3割増と大きく伸びている。25年には二つの入試区分とも2倍台半ばを目指す展開となりそうだ。
広尾学園の姉妹校でBランクの広尾学園小石川[2回]も同じ入試区分だが、倍率ははるかに高い。[本科]は57人が受験して6.33倍(23年4.18倍、22年6.7倍)と初回とは思えない高さということもあり、10月から12月にかけて志望者数は4割減、4割弱減、3割強減と大きく減っている。[インターナショナルSG]は55人が受けて4.23倍(23年7.67倍、22年5.3倍)だったが、2割半減から12月には6割強減となっている。このまま推移すると、25年には広尾学園の倍率に近づいていくことになりそうだ。
次に、Bランクのどちらも算数1科の二つの男子校を見ていこう。巣鴨[算数選抜]は652人が受験して2.3倍(23年2.04倍、22年2.25倍)だったが、志望者数は10月1割減、11月微増、12月前年並みと動いた。世田谷学園[算数特選本科]は360人が受けて3倍(23年2.92倍、22年2.16倍)だったが、同様に2割強減、2割弱減、2割減と減少傾向が続いている。25年は巣鴨が2.3倍程度、世田谷学園は2割台後半まで緩和しそうだ。
東京農業大学第一[2回](24年は1回)は、算国と算理いずれか2科となる。24年に474人が受験して2.29倍(23年2.61倍。22年2.63倍)と緩和したが、志望者数は算理が前年並みなのに対して、算国は1割強減となっており、二つの入試区分を合せると25年はさらに2倍に近づく公算が大きい。併願先として安心を得やすいだろう。