挫折や失敗を重ねても
再起するために
もっと早く自分の能力の核心を自覚していれば、前職でもスペシャリストを志し、能力を生かせたかもしれません。
とはいえ、20代前半では何が得意なのかはなかなか分からない。当時「ゼネラリストは向いていない」と助言されても納得できなかったでしょう。経験してこそ納得できるという面はありますが、仕事と能力とには相性があることを就活生には心に留めておいてほしいと思います。
誰もが挫折や失敗を経験します。そこをなんとか乗り越えることで、生き抜く力は養われます。私自身、紆余曲折を経ながら、何度もキャリアを立て直してきました。
エリート中のエリートだと鼻高々で入社したのに業界の落後者となり、自分のアイデンティティーを根本から否定されたようにも感じました。ですが、そうやって強制的に削がれていって初めて、それでも残っている自分の本質的な強み、核となる部分に気付くことができた。その経験は全て今の仕事や人生に生きています。
それでも、倫理的疑問を感じたり、自らの尊厳を奪われる仕打ちをされたりしたら、退職という選択はもちろんあり、です。
我慢すべきか、理不尽な状況なのかの見極めは難しいところ。周囲に相談して「うちの職場でもあるよ」とか「その仕打ちは行き過ぎだ」などと言ってもらうことが、判断の参考になります。
ただ、仕事は不条理や不合理の塊。若いうちにある程度頑張り抜いた経験がその後の仕事のための「筋力」や「再起力」、レジリエンスにつながります。ですから、ストレスを感じるたびに次々と職場を変えることはあまりおすすめできません。