入山章栄氏が予測する、これからの「第2デジタル競争社会」で伸びる業界とは?Photo by Aiko Suzuki
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2025」の「Visionary Leader 『多様性の時代 』生き方、働き方」を転載したものです。

企業でも個人でも多様性がますます尊重される時代に入っていく中で、どのように生き、働いていけばよいか、経験豊かな5人のプロフェッショナルに聞いた。1人目は、早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授の入山章栄氏。テクノロジーの進化や人口動態で仕事のあり方は激変すると入山氏。どのような考え方で就活に向かえばいいかを聞くと、過激ながらも、未来に展望が開ける回答が得られた。(取材・文/嶺 竜一、撮影/鈴木愛子)

あらゆるものにデジタルが付く時代

――就職する業種はどう選べばいいでしょうか。デジタル化がさらに進むと考えると、関連する業種に就職するのがよいでしょうか。

 デジタルど真ん中の会社でもいいですが、これから伸びるのはそこだけではありません。デジタルと相性が良いのは、例えばエンターテインメント領域もそうです。伝統的な産業であっても、デジタルと結び付いてイノベーションを起こせます。

 ITのプラットフォーマーを決めるデジタル競争で日本は完敗でしたが、今後はIoT、IoH、IoAの第2デジタル競争時代です。

 まずIoT、つまりあらゆるモノにデジタルが付く時代ですから、モノが良くないと勝てない。そこで日本の製造業は復権します。デジタルとうまく融合すれば製造業は世界で勝つことができるし、すでに世界で圧勝している製造企業はどんどん出てきています。

 IoHは私の造語でインターネット・オブ・ヒューマンの略ですが、これからは人にセンサーが付く。そうなると勝負になるのは「おもてなし」です。例えば神奈川県の温泉旅館の陣屋は、この面で抜きん出ています。

 また、動物や植物にもセンサーが付く。IoA、インターネット・オブ・アグリカルチャーです。これが進むと農業がデジタルと融合する。例えば、北海道には牛にセンサーを付けて最適なタイミングで乳しぼりをする技術を開発するスタートアップがあります。