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現在検討されている基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドの適用期間の一致によって受取額はどう変わるか。特集『年金制度大改革 損↓得↑徹底検証』(全10回)の#9では、日本年金機構の見込み額試算や「ねんきん定期便」では見えてこない本当の年金受取額を単身世帯について試算した。(ダイヤモンド編集部 竹田孝洋)
2050年には2世帯のうち
1世帯がほぼ単身世帯に
2050年には2世帯のうち1世帯がほぼ1人暮らし世帯になる見通しだ。
20年の国勢調査の結果を見ると、単身世帯数は20年に2115万世帯だった。国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、36年に2453万世帯でピークを付けた後、50年には2330万世帯となる見通しだ。
一方、総世帯数は20年の5570万世帯から、単身世帯より早い30年に5573万世帯でピークを迎える。その後は減少に転じ、50年には5261万世帯となる見通しだ。
このため、単身世帯の比率は20年の38.0%から50年には44.9%まで上昇する見通しだ。
ただ、増加するだけではない、未婚率の上昇、少子高齢化の進展で65歳以上の単身世帯は20年の737万世帯から50年には1083万世帯に増加する。65歳以上の世帯に占める比率も35.2%から45.1%に膨らむ。
当然、将来の年金額を論じるときに今後は単身世帯のケースをより重視する必要がある。
今回の改革案にある、厚生年金の報酬比例部分と基礎年金のマクロ経済スライドの適用期間の一致で単身世帯の受取額は現行制度より高くなるのか、低くなるのか。
「ねんきん定期便」や日本年金機構の見込み額試算で分かる受取額は、実際の受取額ではなく、現時点での算出基準によるものだ。
受け取り開始日までの名目賃金上昇率や物価上昇率の変動、マクロ経済スライドによる給付抑制が反映されているわけではない。
そこで、次ページでは、24年の財政検証で最も現実的なケースである「過去30年投影ケース」を前提に、上に挙げた変動要素を織り込んだ、単身世帯が本当にもらえる真の年金額を試算した。