中居さん問題は時代を表す象徴的な事件
メディアの転換期に存在意義の見直しを迫った

 フジテレビ問題に話を戻すと、構造として中居さんの問題だけに限定されるのかが気になるところだ。つまり、他の人間関係や、他のテレビ局でも同様のトラブルは起きていなかったのだろうか。そして、テレビ局を批判する、ネットメディアや紙メディアでも同様の問題は起きていないのだろうか。

 もしかすると、誰もが同じ穴のムジナである可能性があるのではないか。メディアに限らず、他のありとあらゆる企業でも、同様の事例がある可能性は否定できない。イエスはヨハネによる福音書で「罪のない者だけが石を投げよ」と述べたが、石を投げられる企業はどれだけあるのだろう。

 さておき、フジテレビをはじめ他局も、企業のあり方からガバナンスまでを総点検することになるだろう。もちろん収益が悪ければ、事業の見直しに迫られるはずだ。世の中にはモノ言う株主もいるので、上場企業が事業を続ける根拠がなければ納得してもらえない。

 メディア企業はガバナンスしかり、収益構造しかり、本業の根本的な立て直しを迫られている。中居さんのトラブルの真実はよく分からないし、筆者は冷静に判断したいと思う。ただ、中居さんトラブルは時代を表す象徴的な事件となり、メディアの転換期に、ビジネスモデルの再考とガバナンス、そして存在意義の見直しを迫ったことだけは確かである。