ビル・ゲイツPhoto:Michael Cohen/gettyimages

米マイクロソフトを世界的企業に押し上げた創業者のビル・ゲイツ氏。惰性に従うのではなく、「なぜそうするのか」「合理的な理由があるのか」を突き詰めるゲイツ氏ならではの仕事哲学とは?(構成/梶原麻衣子)

ビジネスの天才は
仕事を楽しんでいる

 ビジネスの世界で「天才」と呼ばれる人間は、誰しも仕事を楽しんでいる。「嫌々取り組んで」「やらされ仕事で」目を見張るような業績を残せた人はおそらくいないのではないだろうか。つまり、受動的でなく、能動的に仕事に取り組むことこそが、成功への第一歩といえる。

 米マイクロソフトを世界的企業に押し上げた創業者のビル・ゲイツもその一人だ。「仕事を楽しく」は氏の哲学の一つであったようで、日本法人のマイクロソフト(現日本マイクロソフト)初代代表取締役社長を務めた古川享氏によれば、こんなエピソードがあるという。

 あるとき、部下の一部が冗談半分ながら「自分たちは悪事を働いてもうけている」と認識していることを知ったゲイツは、ワンワンと泣き、「仕事は楽しいものである」というモットーを社員に徹底したというのだ(参考)。

 筆者も、仕事が「生活のための労働(ワーク)」ではなく「人生をよりよく生きるための趣味(ホビー)」と化した人物と長く仕事をした経験がある。こうした天才型の人物と同じペースで一緒に働くのは凡人にとっては過酷極まりないが、「仕事を心から楽しんでいる姿」から学んだことは少なくない。

「天才」は、仕事を楽しむことに加え、自分なりの強固な哲学を持つ。もう一つ、古川氏の話から引かせてもらうと、ゲイツとの間でこんなエピソードがあったという(参考)。