年が明けた2025年1月6日に福岡市内で行われた新体制発表会。ふくやに関する質問で、金監督の招聘に関する取締役会議決は「全会一致ではなかったのか」と問われた川森会長はこう答えている。

「取締役会での詳細なやり取りにつきましては、取締役会での活発な議論を担保するうえで、控えさせていただきたいと思っておりますが、クラブのバジェットとコンプライアンスの観点で、執行メンバーが責任をまっとうすると説明し、取締役会として承認をいただいたとご理解していただければ」

 セカンドチャンスを与えるべきなのか。それとも、パワハラ歴を問題視すべきなのか。焦点が金氏からオファーを出した福岡の判断へ移っていた監督人事を巡る前代未聞の騒動は、川森会長の「執行メンバーが責任をまっとうする」をもってひとまずピリオドが打たれた感がある。

 ウルトラオブリは緊急声明を出した後は沈黙を守っていて、練習を見学に訪れるファンやサポーターは、金監督に対して「頑張ってほしい」「期待しています」とエールを送っている。

「日々の積み重ねで証明していくしかない」
決意を新たにする金監督

「自分自身、そういった言葉を受ければ受けるほど心苦しいところもある。(過去は)1日や2日で変わるものではないと思いながら、町田でも、その前も取り組んできました。これからもそれはまったく変わらないし、日々の積み重ねで証明していくしかないとあらためて思っています」

 決意を新たにする金監督は、11人の新加入組を含めた31人の陣容を下記のように語った。戦力と予算が限られた鳥栖を7位に導いたように、監督としての手腕の高さは認められている。移籍組のなかには東京ヴェルディで主軸を担いながら、金監督のサッカーに魅せられたMF見木友哉もいる。

「言い訳ができないぐらいの、しっかりとした陣容をそろえていただいたと認識しています」

 2025シーズンの目標は、リーグ戦で6位以上に入るとともに、カップ戦を含めたタイトルの獲得にすえられた。これまでの福岡の最上位が2023シーズンの7位だから、ハードルは決して低くはない。展開次第では騒動が再燃しかねないリスクと、背中合わせになる戦いが幕を開けようとしている。