低価格戦略を実現する
「規模の経済性」と「習熟効果」

 日本マクドナルドが低価格路線を打ち出したのには、合理的な理由があったと考えられます。

 日本マクドナルドが採用した戦略は、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱した「3つの基本戦略」の一つである「コスト・リーダーシップ戦略」に該当します。これは低コストを追求することで、競合他社よりも競争優位を確立する戦略です。

 コスト・リーダーシップ戦略を成立させる鍵は、「低コストの実現」にあります。日本マクドナルドはどのように低コストを実現したのでしょうか。「規模の経済性」と「習熟効果」の2つの観点から分析してみましょう。

 まず、「規模の経済性」とは、生産数量や契約件数などが増えることで、製品一つ当たりのコストが低減することを指します。日本マクドナルドは、グローバル規模での食材大量購入により、仕入れ単価を低減し、コストを削減しています。

 次に「習熟効果」とは、ビジネスにおいて累積の経験量が増すと、無駄が減り、効率化が進む結果、単位当たりのコストが下がることを指します。日本マクドナルドは、長年の運営を通じて店舗運営に関するノウハウを蓄積し、調理工程の標準化や従業員のトレーニングを進めることで、業務効率を高め、コストを低減しています。