御三家以外に人気分散の一方で
繰り上げ合格が多かった中堅校も

 近年の傾向として、いわゆる「御三家」と呼ばれる超難関校にかつてのほど人気が過度に集中せず、御三家以外の超難関校にも受験生が分散している点が挙げられます。この傾向は今年も顕著でした。これは御三家の人気が下落したということではなく、御三家以外の新しい学校の魅力が広く認知され、受験生の選択肢が広がった結果といえます。難関校を目指す受験生たちが、自身の住まいや志向性に応じて、より適切な学校選択をしてきているということです。

 これも今年に限ったことではないのですが、これまでの連載でもお話している通り、面倒見のいい超難関校や新しい教育を志向する学校群の勢いが続いています。聖光学院や豊島岡女子、渋谷幕張といった学校が予想通り、あるいは予想以上の人気を集めています。これらの学校は、難関大学への進学実績を維持しながら、きめ細かな教育支援を提供している点が評価されています。

 中堅校については、今年は例年以上に繰り上げ合格が多く出される傾向が見られました。これは、受験生の志望校選択パターンが従来よりも多様化し、選択のあり方がより柔軟になっていることの現れともいえます。従来なら「A校とB校であれば必ずA校を選ぶ」と相場が決まっていたところ、現在ではB校を選ぶ人がそれなりの数出てくるなど、流動的になっているのです。そのために学校側の入学者数の予測も難しく、当初の合格者数の設定を慎重に見積もる傾向にあります。

 例えば、大学附属校でも、この傾向が顕著に見られました。立教新座では、補欠順位102位までを繰り上げ合格とし、100名規模での補欠合格を出し、合格発表後の動きにも注目が集まっています()。

 都心部の中堅校ではやや受験者を減らした学校も見られました。これに関しては、都心の一部エリアなどでは小学校受験やインターナショナルスクールへの関心がより高まっており、そのことが影響しているかもしれません。

 首都圏模試の偏差値40以下の学校群においても、入試問題が難化したというわけではありませんが、倍率は2倍程度を維持しています。