儲かる農業2025 日本の夜明け#13Photo:Eoneren/gettyimages

ダイヤモンド編集部は、担い手農家アンケート回答者を、面積当たりの収益性に着目して評価した「中小キラリ農家ベスト20」の2025年版を発表する。今年は、農業のフランチャイズ化を進める法人が上位に食い込んだ。特集『儲かる農業2025 日本の夜明け』の#13では、高収益農家の多彩な儲かるヒントを大公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

ソニーが出資したテクノロジー企業が提示する
転用可能な「儲かる農業」のモデルとは?

 ダイヤモンド編集部が、担い手農家アンケートに回答したプロ農家1400人の中から、面積当たりの収益性に着目して選出した「中小キラリ農家ベスト20」の首位は、サンファーム中山だった。同農場は、AI(人工知能)などのテクノロジーを駆使して儲かる農業のモデルを作り、他の農場に移植している。いわば「フランチャイズ農家」を増やしているのだ。

 サンファーム中山は、AIでトマトのしおれを検知し、最適なタイミングで養液を自動で補給するシステムを導入。この技術や、研究者である代表者のノウハウを詰め込んだ自作アプリを活用することで、自農場のみならず、契約先の農場でも平均糖度8度のトマトを夏場も含め通年で生産できるようになる。

 記者が静岡県の同農場と、パートナー企業であるHappy Quality(HQ)を訪れると、サンファーム中山の代表者や大手医療機器メーカーからHQに参画した技術者らが陸上ドローンを試作したり、トマト栽培を仮想空間で再現するデジタルツインを作成したりしていた。まさにスタートアップの研究施設そのものだ。

 サンファーム中山の強みは、栽培技術の高さだけではない。実は、生産したトマトは、HQが1キログラム当たり600円(税抜き)の固定価格で買い取っている。

 次ページでは、就農者にとって、儲かる農業のヒントが満載の中小キラリ農家ベスト20を大公開する。さらに、中小キラリ農家1位のサンファーム中山やHQが、独立した農家らに示している「年収1200万円」の儲かる農業モデルについて詳述する他、中小キラリ農家2位となった群馬県のエスアンドエムの強さの秘訣を明らかにする。