必見! 寝ている釈迦如来像

法輪寺(上京区)の本堂に祀られる寝釋迦尊像(涅槃仏)法輪寺(上京区)の寝釋迦尊像(涅槃仏)

 インドから中国へ禅を伝えた達磨大師由来の「だるまさん」をおまつりすることから「だるま寺」の名で親しまれているのが、江戸中期に創建された臨済宗妙心寺派の法輪寺です。JR嵯峨野線「円町」駅から北東へ徒歩10分、上流には北野天満宮がある紙屋川に沿っています。

 48個の石の配置により禅の教えを示す枯山水庭園「無尽庭」を臨む本堂には、釈迦如来坐像を中心に、文殊菩薩坐像と普賢菩薩坐像が安置されています。その手前に、なんと! 枕の上に頭を乗せ、布団をかぶって横たわる「寝釋迦尊像(涅槃仏)」がいらっしゃるのです。

 涅槃図では定番のお釈迦様が横たわるお姿ですが、立体の仏像としては珍しいものです。普段は隣接する衆聖堂の2階にいらっしゃいますが、涅槃会に合わせてお彼岸の頃までの期間限定で本堂にお移りになっています。

 この金箔木彫の仏像は、織田信長に仕えていたころの羽柴秀吉が、播磨国の三木城を攻め落とした際、戦で亡くなった兵士や足軽の農民らを供養するため、現地の伽耶院(兵庫・三木市)に奉納されたものであり、創建を機に法輪寺に移されました。

 目を閉じ穏やかな表情をたたえておられるこちらのお釈迦様は、福・徳・壽(長寿)という三つの福を授けてくださるといいます。お参り後は、拝観受付に並ぶ授与品も必見。干支の動物と小さな「だるまさん」が共演するオリジナルの土鈴「干支だるま」が人気で、巳年の今年は、白蛇の背中に赤色のだるまさんが乗っています。家の玄関やリビングに置いておきたくなるかわいらしい縁起物です。

達磨堂法輪寺の達磨堂。悟りを求めて苦行を重ねた達磨大師由来の「だるまさん」がまつられる