ジム・ロジャーズが警告!「低金利だから家を買おう」という人の悲惨な末路写真はイメージです Photo:PIXTA

日銀が推し進めてきた長期的な低金利政策によって「今がお得」とばかりに借金をして家を建てたり、事業を立ち上げたりした、という人も少なくないだろう。しかし、世界三大投資家のひとりに名を連ねるジム・ロジャーズ氏は「低金利でお金を安く借りられるメリットは一時的」と警鐘を鳴らす。超低金利政策によってもたらされた悪影響やリスクとは?※本稿は、ジム・ロジャーズ(著)、花輪陽子(監修・翻訳)、アレックス・南レッドヘッド(監修・翻訳)『「日銀」が日本を滅ぼす 世界3大投資家が警告する日本の未来』(SB新書)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜ年金も退職金も増えないのか?
その理由は「低金利」にあった

 長期的な低金利政策は、年金や退職金へも悪影響を及ぼしている。これらの制度が急速に高齢化する日本の老後の生活を支える重要な社会保障や資金でもあるにもかかわらずだ。

 日本における年金制度は、国民年金や厚生年金といった公的なものから、民間企業が行っている厚生年金基金、確定拠出年金などがある。その他いわゆる生命保険等の私的な商品や制度など、さまざまなものがある。このあたりは外国人の私より、読者である日本人の方の方が詳しいだろう。

 年金に関する商品はさまざまある一方、その多くの大枠の仕組みは共通している。投資者、権利者から預かったお金を、サービスを取り仕切っている企業や組織がまとめ、市場で運用するというものだ。

 そうして、運用で得たリターンも含めて出資者に還元する。つまり運用先の利回りが高ければ高いほど、リターンは大きくなる仕組みだ。このような仕組みは年金だけでなく、企業の福利厚生の一つである退職金制度でも同様である。

 企業における同制度の場合には、本人が出資したお金だけでなく、企業も出資をしてくれる。そのため、日本においては必然的に個人事業主よりも会社員の方が、多くの年金や退職金を得ることができるようになっている。

 実際、すでに会社を退職しているシニア世代は、特に大企業に長く勤めた人であれば、数千万円という退職金に加え、月数万円の年金を受け取っており、悠々自適なシニアライフを送っている人も少なくない。