私はこれまで何度も日本を訪れているし、日本の友人とも連絡を取っている。人口は減っている、空き家があちらこちらで見られるにもかかわらず、相変わらずマンションが建築されている日本の状況は、異常であることは間違いない。
家を手放す人があふれる?
危険な低金利住宅ローン
そしてそのことを多くの日本人も、気づいているのではないかと思う。特に、金利が高かった時代の日本を知っている世代の人たちは。
私は今の日本は、借金において抑制が利かない状態になっていると思う。そしていずれ、人々は気づくだろう。「なぜ、こんなにも借金をしてしまったのか」「なぜこんな無理なローンを組んだのか…」と。
そして今まさに、そのような問題が顕在化する転機が訪れている。日銀が金融緩和政策からの転換を決定、金利の上昇が始まったからだ。このまま金利が上がり続け、正常な数字になったらどのような状況になるのか。
住宅ローンが分かりやすいだろう。低金利だから支払うことができたが、金利が数倍にも上がってしまっては、払えない。そのような人たちが大勢あふれることは、目に見えている。最悪の場合、せっかく購入した、暮らしの根幹でもある自宅を、手放す必要性に迫られるのである。

事業ローンも同様だ。毎月の利息が増えたことで返済が厳しくなり、倒産してしまう。そしてこのような個人や企業の破綻により、お金を貸した銀行などの金融機関も大打撃を受けることになる。
このように一見すると得しているように感じる低金利だが、実は健全な経済成長を阻害する要因になっているのだ。
読者の中に、今は低金利だからとお金を借りることを考えている人がいるのであれば、長期的な目線に立ってほしい。子どもや孫にとっても良い借金であるかどうか、そこまで考えて、お金を借りてもらいたい。