その結果として、消費意欲を減退させたと、私は見ている。
消費意欲が低い状況から抜け出すには、若い世代の貯蓄意欲低下の対策と同じく、投資を増やす方法を見つける必要がある。そしてこちらも同じく幸いなことに、日本市場は35年間の低迷を経て、ようやく投資が増え始めている。
さらには、いまだに政府や日銀は宣言をしていないが、30年以上続いたデフレ局面から、ようやく抜け出そうとしている。実際、日本で多くの物価上昇が見られる。このような状況が長期にわたり続けば、状況は改善するかもしれない。
金利が低い日本であれば、お金を安く借りることができる。このことについて改めて考えてみたい。まずは、国内で成長を目指す中小企業の状況について。確かに、ふだん付き合いのある銀行の金利が低ければ資金調達はしやすいし、返済も楽だろう。
国内の中小企業に限らずグローバル規模の大企業、その他日本に進出してきている外資系企業、海外の投資家、日本で家を買おうとしている人、日本の不動産を購入しようと考えている海外の投資家などにとっても、世界と比べてかなり安くお金を借りることができる日本の状況は、良く映るのかもしれない。
空き家が問題になっているのに
マンション建築を続けるのは異常
しかし、繰り返し述べてきたことだが、金利が安いばかりに、お金を簡単に多くの人が借りられる状況であるばかりに、個人も企業もそして国も、本来であれば必要のない、しなくていい借金を持つことになる。
たとえば、一昔前であれば決して審査に通らず、起業や新規事業をできなかった経営者が、言葉を選ばずに言えば、大した事業内容や事業計画書でもないのに資金を借りることができてしまう。このような状況が生まれる。
住宅も同じである。正常な金利であれば住宅ローンを組むことができない層が、住宅ローン審査に通って、家を購入できてしまう。あるいは、自分の支払い能力を超えるような額のローンが組めてしまう。
実際、空き家が問題になっているにもかかわらず、また世帯数より住宅数が多いにもかかわらず、日本人は自分たちが暮らす家はもちろん、投資用の賃貸物件も含め、多くの不動産に投資をしている。