体格を選ばずワンサイズ、対応バッテリーを使えば冬山でも利用可能

 当初、アシスト量は多いほど良いと考えて1馬力のHypershell Pro Xを選んだが、後述するようにカジュアルユースであれば0.5馬力でも十分そうなことがわかった。交換式のバッテリー容量はどれも同じく5000mAhで72Whだが、1個あたりの公称航続距離はGo Xで最大15km、Pro XとCarbon Xでは同じく最大17.5kmとなっており、馬力に余裕のある上位モデルのほうが駆動効率がいいようだ。ちなみに、バッテリーは通常タイプとアンチコールドタイプがあり、後者はマイナス20度まで機能が保証されているため、冬山でも使える本気の仕様になっている。

Hypershellは、身体に直接取り付けてアウトドアアクティビティなどで脚力を増幅してくれる、いわば「電動アシスト脚」とでも呼べる製品だHypershellは、身体に直接取り付けてアウトドアアクティビティなどで脚力を増幅してくれる、いわば「電動アシスト脚」とでも呼べる製品だ Photo:Hypershell

 身体への装着は、モーター部を含む本体を腰に巻き、動力を伝達する左右のアームを太もものひざ上のあたりに取り付ける。そのため、腰回りのフレームとアームにはユーザーの体格に合わせるための長さ調整機構があり、一つのサイズで標準的なほとんどの体型に合うように作られている。Hypershellでは、この構造がギリシャ文字の「Ω」に似ていることから「オメガアーキテクチャ」と呼んでおり、力の作用点が足の側面ではなく前面に来ることで、効率よくアシストできる仕組みになっている。

 また、アームの付け根がヒンジになっており、使わない時にはたたんでバックパックなどに収納して持ち運べる(樹脂フォーム製のキャリングケースも付属)。

 クラウドファンディング時のプロトタイプと比べると、モーターの位置やサイズを含めた大掛かりな設計変更が行われており、そのこともあって開発スケジュールが遅れたようだ。しかしその分、完成度も高まっており、もしAppleがエクソスケルトン製品を作ったならこうなるのでは、と思える作りと仕上げになっている。

たたんだ状態と利用時のHypershell Pro X。利用時の形状から、この独自構造は「オメガアーキテクチャ」と呼ばれているたたんだ状態と利用時のHypershell Pro X。利用時の形状から、この独自構造は「オメガアーキテクチャ」と呼ばれている(以降の写真はすべて筆者撮影)