現時点では技適認定を受けていない点に注意

 ちなみに、Hypershellシリーズは単体でも利用可能だが、スマートフォン用の専用アプリがありBluetooth経由で通信を行う。しかし現時点では日本の技適認定を受けていないため、筆者は180日間の特例制度を利用して総務省通信局に届出を行い、今回の記事を書いている。YouTubeやブログなどで日本国内での試用記が紹介されている場合があるが、技適なしに利用すると違法となるため注意が必要だ。

 ただ、この件に関してHypershell本社に問い合わせたところ、本格的な国内販売にも前向きなので、近い将来には技適認定を受けた製品が発売になると期待していいだろう。

大阪城公園で起伏のあるコースを歩く

 筆者はかつて(新型コロナウイルス禍以前)アメリカのヨセミテ国立公園を訪れ、1日かけてトレッキングしたことがあり、その際にこれがあれば絶好のテストフィールドだったと思う。しかし、今回は冬山に登るような予定や技能もなく、技適の特例制度ではテストエリアを記載する必要があるため、近場で試用するにあたって大阪城公園で坂道や階段のあるコースを考えてみた。

 Hypershellシリーズは、基本的にアウトドアのレクリエーション向けに作られたものだが、実際のユーザーフィードバックなどを見ると、事故や先天的な障がいによって歩行が困難な人たちが利用しているケースも少なくない。その意味では、ユーザーの自宅近辺などで普段使いするというニーズもあり、このようなコースでの試用もそれなりに意味のあるものといえる。

 スタート地点は約1270本もの梅の木を擁する大阪城公園の梅林。品種によっては3月いっぱい開花しており、訪れたときには、1本の木に白梅と紅梅の両方が咲く非常に珍しい「思いのまま」という品種が満開だった。

今回のテストコースのスタート地点に選んだ大阪城公園の梅林今回のテストコースのスタート地点に選んだ大阪城公園の梅林
1つの木に白梅と紅梅の両方が咲く珍しい梅の品種「思いのまま」1つの木に白梅と紅梅の両方が咲く珍しい梅の品種「思いのまま」

 コースの概要は、まず最大斜度10度の急な上りの坂道があり、登り切ったところからお堀沿いに歩いていって斜度25度の急階段を下る。降りたところから戻り始めて、今度は同じく斜度25度の急階段を登り、お堀沿いに元来た方向に歩いて、最初の急坂を降りてゴールという具合である。

 一般に、10度の傾斜があれば急坂とみなされ、階段の場合には30度以上が急階段とされるが、写真でもわかるように階段もそこそこ高低差があって段数も多いため、25度でも十分急に感じられた。

今回のテストコース。総距離は約1.4kmとさほど長くないが、急坂や急階段が含まれるように設定してみた今回のテストコース。総距離は約1.4kmとさほど長くないが、急坂や急階段が含まれるように設定してみた 拡大画像表示