一番避けなければならないのは、M&Aした企業同士が同じ製品を開発し、内部競争を生んでしまうことです。そんなことになれば、「何をやっているんだ」という話になる。ただ、目指す方向性が同じでも、そのアプローチは違っていいと思っています。

 異なる会社が持つ独自の視点や強みを活かすことで、より大きなシナジーが生まれると考えています。私は、「効率化が全て」だとは思いません。むしろ、効率化によって失われるものも多いはず。ある程度の余力や、無駄とも思える余白があることで、新しい発想やイノベーションが生まれることもあります。

 大切なのは、しっかりとバランスを取りながら、「これだけは共有しておいてほしい」というポイントを押さえておくことだと思います。 そういう感じで、製品開発には最低限のラインというのはもちろんありますが、グループとして「これをやってはいけない」という決まりごとはあまりありません。

「変えてダメなら戻せばいい」
挑戦を支える開発マインド

 一般的に、創業家がいる会社では「これは絶対に変えてはいけない」と言われることが多いですよね。でも、うちでは「いいと思うならやってみたら?」というスタンスなんです。

 そして、もし変えてみてうまくいかなかったら、戻せばいい。戻すことが「失敗」ではなく、「やってみないと分からないから、まずは試す」という文化が根付いているのです。

 そういう意味で、当社には挑戦しやすい環境があると自負しています。

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PROFILE
かわばた・かつのり/1971年兵庫県生まれ。94年近畿大学卒業後、アース製薬に入社。2006年広島支店長、09年大阪支店長、12年ガーデニング戦略本部本部長、13年取締役ガーデニング戦略本部長を歴任。14年代表取締役社長、21年代表取締役社長CEO、グループ各社取締役会長。

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