新製品「はだまも」では「お肌にすごくやさしい」ことをアピールするため「弱酸性」という点を一番の売り文句として打ち出しました。でも、もし売れ行きが思わしくなかった場合、それは「弱酸性」というメッセージが響いていないということになります。では、何が響いたのか。そこを徹底的に分析することが重要です。

 新価値創造本部でも、製品開発をする際に「言いたいこと」はたくさんあります。でも、それをすべて書いてしまうと情報が多すぎて伝わりません。だからこそ、「今回の製品の一番のメッセージはこれ」「二番目はこれ」と、優先順位をつけることが大切です。時には「社長、20個くらい書きたいことがあります」と社員から言われますが、「そんなに書いたら、結局何も伝わらないよ」と諭します。

M&A戦略の鉄則
「効率化が全てだとは思わない」

――同社は近年、ライバル企業も含めたM&Aにより企業規模を拡大してきた。08年にはフマキラーの株式を取得(のちにエステーに売却)、12年にバスクリンを完全子会社化した。川端氏が社長になった2014年には、民事再生手続きを開始した白元の事業を継承し、白元アースとして再建している。今後、同じカテゴリの製品戦略を個別に進めていた各社のノウハウをグループ全体で活かすべく、ホールディングス化を検討しているという。その真意とは何か。

 同じような製品を持つ企業をM&Aした場合、注意しなければならないのは「無駄な競争を生まないこと」です。これを防ぐために、当社ではホールディングス化を進め、組織改編を行っています。

 ただし、当社には「基本的に自由な社風」があります。もちろん、完全に自由にするわけではなく、ある程度のグリップを効かせながら運営をしています。これは車の運転と同じで、「適度な遊び」があった方が良いという考え方です。