当社の製品がどのようにお客様に認知されるのか。それは、キャッチーなネーミングなのか、デザインなのか、それとも中身なのか。私としては、そのすべてがそろっていてほしいと思っています。

 社内では「二度の感動」という言葉をよく使います。一度目の感動は、店頭で他社の製品と並んだときに、まず手に取ってもらうことです。目を引き、選ばれることが第一の関門になります。これが「一度目の感動」です。

 そして二度目の感動は、お客様が実際に使ったときに訪れます。店頭で「良さそう」と思って購入しても、使ってみて「何だ、これは」とがっかりされてしまったら、次は選ばれません。

 つまり、「一度目の感動」だけでは長く愛される製品にはならず、「二度目の感動」までしっかりと提供できなければ、継続的なシェア獲得にはつながらないのです。現在、当社の製品が一定のシェアをいただいているのは、この「二度の感動」がうまく機能しているからだと考えています。

ヒットの裏には「ズレ」がある?
企業が学ぶべき消費者の心理

――川端社長によれば、予想外のヒット製品が生まれることもあるという。そこには良い意味で「ターゲットのズレ」があるというが、それはどういうことなのか。また、その「ズレ」をどう修正していくのか。

 製品開発を進める中で、私たちが思っていたものとは違う形でヒットすることもあります。「なぜ売れたのか?」と考えることも多いですが、完全に的外れでなければ、それはある意味で、良いことです。

 たとえば、製品には「一番目立たせたい言葉」や「一番強調したいポイント」があります。ところが、実際に売れてみると、私たちが想定していたポイントではなく、パッケージの隅に小さく書いていた別の要素が消費者の心に響いていた、というケースもあります。

 こうした場合、結果として「書いておいてよかった」と思うわけですが、次の製品開発では、その要素をもっと前面に押し出すように改善すればいいのです。つまり、「売れなかった製品」はどこにも響かなかったということですが、「狙いと違うところがヒットした製品」は、改善の余地があり成功と言えます。