
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#29では、奈良県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
奈良県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
南都銀行、大和信金が倒産させた企業は何社?
奈良県を地盤とする南都銀行が、思い切ったトップ交代に踏み切った。4月1日付で頭取に就任した石田諭氏は50歳――、現役の地方銀行トップでは最年少だ。
しかも石田氏は“外様”の人物である。第一勧業銀行(現みずほ銀行)からキャリアをスタート。産業再生機構や経営共創基盤で企業再生に携わった後、金融庁で地域金融企画室長として地銀改革を促した。生え抜き以外がトップに就くのは南都銀行で初となる。
石田新体制が掲げた新中期経営計画(最終年度は2028年3月期)は、連結純利益180億円以上、自己資本利益率(ROE)5.5%以上が目標である。奈良県内で圧倒的な貸し出しシェアを誇る一方、人口減で市場縮小が避けられない現実を踏まえ、大阪府での取引拡大に本腰を入れる。
20年に断行した、大胆な店舗再編で捻出した人員をデジタル化と営業強化に振り向け、奈良・大阪間の資金フローを太くする構えだ。
南都銀行の経営のかじ取りが揺らげば、地元企業の資金繰りやメインバンク構造に波紋が広がりかねない。企業を成長させて生かすのも銀行、危機に陥った際に命運を握るのも銀行だからだ。特にメインバンクが「支えるか、引くか」は、倒産か再生かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
2024年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、奈良県の金融機関を取り上げる。南都銀行のほか、大和信用金庫や奈良信用金庫なども名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の奈良県の結果を確認していこう。