
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#30では、和歌山県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
和歌山県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
紀陽銀行、きのくに信金が倒産させた企業は何社?
関西の地方銀行業界に、不穏な空気が漂い始めている。
きっかけは、投資ファンドのありあけキャピタルが4月14日、関東財務局に提出した大量保有報告書である。同ファンドが滋賀銀行の株式を5.3%保有していることが明らかになり、関西地銀の業界関係者の間に緊張が走った。
ありあけキャピタルの動きはこれにとどまらない。5月16日には大阪を拠点とする池田泉州ホールディングス(HD)の株式を5%超取得したことが判明し、さらに5月23日には保有比率を6.44%まで引き上げたことが分かった。関西の地銀に対して、議決権ベースでの影響力をじわりと高めつつある。
このまま出資比率を積み増していけば、池田泉州HDに対して何らかの経営的アクションを起こす可能性は否定できない。事実上の地銀再編への圧力として市場が受け止めるのも無理はない。
その再編の波が及びかねないのが、和歌山県唯一の地銀である紀陽銀行だ。池田泉州銀行との統合可能性について、紀陽銀行の原口裕之頭取は1月のダイヤモンド・オンラインのインタビュー記事で「全く考えておりません。もちろん経営の選択肢としてさまざまな可能性はあると思いますが、われわれの方から能動的に動く予定は今のところない」と明確に否定していた(詳細は『紀陽銀行の「大阪地元化計画」進行中!取り付け騒ぎを経て得た和歌山の地銀の“秘策”とは?』参照)。
独立路線を志向する紀陽銀行だが、株主による周辺地銀への要請が強まれば、再編圧力はいや応なしに高まっていく。今後の動向次第では、さらなる資本政策の見直しを迫られる可能性もあり、その余波は地元企業の資金繰りやメインバンク構造にも影響が及ぶ恐れがある。企業を成長させて生かすのも銀行、危機に陥った際に命運を握るのも銀行。特にメインバンクが「支えるか、引くか」は、再生か倒産かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
2024年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、和歌山県の金融機関を取り上げる。紀陽銀行のほか、きのくに信用金庫も名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の和歌山県の結果を確認していこう。