
メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、2025年最新版として取りまとめた結果を実名で公開。特集『融資先企業を「倒産」させた金融機関ランキング2025』の#34では、広島県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
広島県で融資先企業を最も倒産させてきた銀行は?
広島銀行、もみじ銀行が倒産させた企業は何社?
四国の名門、丸住製紙(愛媛県四国中央市)が2月末に経営破綻した。ダイヤモンド編集部の取材で判明した貸倒額ランキングによれば、広島銀行の融資残高は70億円超と、丸住製紙に融資していた地方銀行6行の中で最大規模だった。
それでも広島銀行の焦げ付き比率は3割を下回り、地銀の中で最も低水準にとどまった(詳細は『【独自】名門・丸住製紙に対する取引金融機関の「貸倒額」が判明!上位は地銀がズラリ、みずほや三井住友信託の焦げ付き率は?』参照)。
融資残高では三井住友信託銀行と肩を並べ、本来は準メインバンク格だった広島銀行だが、担保設定を徹底し損失を抑えた。背景には各行と距離を置き、金利条件などを競わせる丸住製紙の金融機関政策があった。同社には、確固たるメインバンクが存在しなかった。
旗振り役不在のまま倒産に至った事実は、メインバンク機能の重要性を改めて示している。企業を育てて生かすのも銀行、危機に陥れば命運を左右するのも銀行だ。特にメインバンクが「支えるか、引くか」は、再生か倒産かの分水嶺となる。
メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。
2024年度の全国の企業倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えた。今後も倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が、厳しくなるのは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか――。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。
メガバンクに地銀、第二地銀、信用金庫に信用組合――。全国の金融機関が直近の2年間で、どれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、25年最新版として取りまとめた「融資先企業を『倒産』させた金融機関ランキング」を実名で公開する。
今回は、広島県の金融機関を取り上げる。広島銀行、もみじ銀行のほか、広島信用金庫、広島市信用組合も名を連ねた。
ちなみに「金融機関が倒産させた企業数の多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融業態の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。
ランキングは、50本以上の記事として配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の広島県の結果を確認していこう。