管理職はパートリーダーです。ドラッカーが言うように管理職は、自ら作曲して指揮を執り、多くの場合、自らも演奏しなければなりません。このようにたどっていくことで、ドラッカーが自らのコンサルティングツールをマネジメントの「スコアカード」と呼んだもう1つの理由には、音楽の楽譜という意味があることに私は気づいたのです。

図表2:マネジング・ワンセルフの意味同書より転載
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チームは有機的な存在
健康な運営が要になる

 オーケストラも含めて組織・事業の良しあしは、聴衆や社会の評価と成果の持続性とを見なければ分かりません。ドラッカーは、「企業の健康はマネジメントの責任である」(『マネジメント』[上]p.392)としたうえで、「組織構造は目的達成のための手段である。それ自体が目的ではない。構造の健全さは、組織の健康(health)の前提である。しかし、それがそのまま組織の健康を意味するわけではない。

 事業の健康を判定する基準は、組織構造の美しさ、明晰(めいせき)さ、完全さではない。人のあげる成果(performance)である。」(『マネジメント』[中]p.317)とし、人が成果をあげている事業・組織が健康・健全であり、それはマネジメントの責任であるとしています。

 私は、ドラッカーが自らのコンサルティングツールを、マネジメント・スコアカード(MSC)と名づけた理由は、3つあると思います。

 1つには、体系化されたマネジメントの知識体系・実践ツールであると同時に点数表であること、2つめは音楽の楽譜であること、3つめは健康診断ツールであることを示したかったためだと考えています。