次に、研修を受けた後に必ず行うのが、振り返りシートの記入と、それを基にした上司との1on1面談です。こうして何度もじっくり振り返ることで、学んだことが持続し定着しやすくなります。

 さらに、研修は1日に詰め込むのではなく、月1回・2~4時間の研修を12カ月実施するプランを提案しています。つまり研修と振り返りのサイクルを12回行うので、研修内容がその場だけでなく刷り込まれていきます。

──講師の質も重要だと思いますが、どのように確保されていますか?

高尾 弊社の特徴は、登録講師のコミュニティーをつくっていて、勉強会や懇親会を開いて、互いに交流を深めて切磋琢磨していることです。このような動きをしている会社も意外と少ないようですね。 講師の多くはキャリアコンサルタントの資格を持っていますが、フリーランスの方も多く一緒に勉強する機会が少ないので、切磋琢磨できる環境に魅力を感じ、講師がさらに集まり、お互い高め合うという好循環が生まれています。

──創業から16年間、厳しい時期はありましたか?

「伴走型研修」で九州の企業を支える 2冊の著書がコロナ禍の苦境を救う高尾氏が著した書籍『中小企業のための社内研修の効果的な進め方』(同文舘出版)と『会議カイゼン~脱!沈黙会議~』(ぱる出版)

高尾 最大の危機はコロナ禍でした。それまで介護業界向けの研修が多かったのですが、施設に立ち入ることができなくなり、壊滅的な打撃を受けました。

 苦しい時期でしたが、その間に著書を2冊出版したことが巻き返しにつながりました。20年に発刊した『中小企業のための社内研修の効果的な進め方』と、22年に発刊した『会議カイゼン~脱!沈黙会議~』です。これらをご覧いただくことで、九州だけでなく北海道や宮城県など遠方からも依頼を頂くようになり、落ち込んでいた売り上げが回復しました。

──本が救世主になったのですね。

高尾 福岡信用金庫さんに融資していただいたことでも、コロナ禍の苦境を脱することができました。福岡信金さんとは創業当初からのお付き合いで、メインバンクとしてずっとサポートしていただいています。経営相談に乗っていただいたりと何かとお世話になっています。

──今後はどのようなことに挑戦したいとお考えですか?

高尾 現在は研修を中心に事業を展開していますが、今後は教育体系の構築や評価制度との連動など、より広い視点での人材育成コンサルティングにも踏み込んでいきたいと考えています。そうして九州の企業に深く入り込んでいくことで、九州の企業の成長に貢献していきたいと考えています。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2025年5月号掲載、協力/福岡信用金庫

事業内容:教育研修事業、採用支援事業、就職転職支援事業、出版支援事業
登録講師:70人
所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前2‐4‐12 タイセイビル4階
電話:092‐292‐6950
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