「なめとったらしばき回すぞ!」テレビ局の新入社員がクレーム電話に苦戦→代わった上司の「まさかの発言」にドン引き…写真はイメージです Photo:PIXTA

今、テレビ業界の裏側、そしてテレビプロデューサーの「裏の顔」が世間の注目を集めている。私は20余年にわたりテレビ局に勤務してきた。テレビ局とはどんなところで、テレビプロデューサーの仕事とはいったいどんなものなのか?本書にあるのは私が実際に目撃し、また体験したことである。※本稿は北慎二『テレビプロデューサーひそひそ日記』(三五館シンシャ)の一部を抜粋・編集したものです。テレビ局名や人物など固有名詞の一部は仮名です。

某月某日 初仕事
新人の困りごと

 いよいよ少年時代から憧れ続けたテレビ局で働くのだ。4月1日、私は高揚した気分で出社した。

 辞令をもらい、編成部に配属されたことを知る。同期は男性ばかり5人で、1人は東京の大学出身というだけの理由で東京支社への配属、あとは営業部、営業推進部、報道部へと配属になった。

 人気のあったのがテレビ制作に直接携わる「制作部」で、私もここへの配属を熱望していたが、あてが外れたかたちだ。それでも、不人気な報道や営業でなかったことにほっとしていた。

 全体会合で長すぎる社長の新年度あいさつを聞き、編成部の上司に連れられて、社内をあいさつ回りして、自席に着くと、早々に先輩社員に声をかけられた。

「北君、あなたは小森君と一緒に大阪城の西の丸庭園(*注釈は記事末に列記、以下同)に行って、花見の席取りをしてください。大事な仕事なのでがんばってね」

「ほな、行こか」小森先輩がそう言って、私の肩をちょんと叩く。私はつき従って会社を出る。どうやら編成部に配属された私の、これが最初の仕事らしい。