
40万人以上の定期購読者を抱える「日本で一番売れている月刊誌」をご存じだろうか? 経営難で給料の遅配や不渡りに見舞われ、1度は潰れかかった雑誌がなぜ、No.1月刊誌へと生まれ変わることができたのか? ノンフィクション作家の下山進氏が新刊『持続可能なメディア』(朝日新聞出版)からの特別寄稿で、サクセスストーリーの裏側を解き明かした。
(※記事中のデータ、肩書などはいずれも取材時点のものです)
「日本一の月刊誌」快進撃のウラ側
日本で一番売れている月刊誌!
紙の定期購読で、14万部の部数を2017年からの6年間で49万5000部に!
ということで、シニア女性向けの定期購読月刊誌『ハルメク』の編集長の山岡朝子は、度々新聞社のインタビューをうけている。新聞社や日本新聞協会の講演にも呼ばれる。
だから彼女をこのコラムでとりあげることは、いまさらと思ったのだが、これまでの記事を読んでみると、肝心なことが書いていないことがわかった。
「ハルメク」の快進撃は、実は山岡だけを見ていてはわからない。
ハルメクを発行するハルメクホールディングスの前身は、1989年に創業された株式会社「ユーリーグ」。その「ユーリーグ」は、2009年3月に約65億円の負債総額を抱えて、民事再生法の適用を申請している。そこで、この「ユーリーグ」を買収したプライベート・エクイティ・ファンドのJ-STARが、代表取締役社長として送り込んだのが、ボストン・コンサルティング出身の宮澤孝夫だ。
宮澤孝夫という経営者からシニア女性を顧客にしたこの会社の再生劇を見てみると、まったく違う風景が見えてくる。
お届けするのは、編集と経営が両輪になった「ハルメク」