
新築マンションの建設コスト高騰が止まらない。現在デベロッパーが仕込み中の物件は、それまでは決してあり得なかったような高価格帯の値付けがなされることが確実だという。好立地の中古マンションも投資家や外国人との戦いになる。マンションを買って住みたいと思っている人は、どうしたらいいのか。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#9では、2025年の狂乱の市場を見渡そう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
新築分譲時の4倍で売られる港区タワマン
外国人投資家参入でカオス市場に
家族が人生を過ごす家であったはずのマンションが、株や先物以上に投機的な金融商品と化している。
東京都港区、JR浜松町駅前のタワーマンション、パークコート浜離宮 ザ タワー。2019年の新築分譲時に坪単価560万円で売られていたマンションだが、6年後の今、なんと坪単価2000万円を超える値段で取引されている。ファミリータイプのマンションとしてはほぼ平均的な広さである80平方メートル台の部屋が5億円、6億円といった価格で売れているのだ。発売から23年9月まで平均坪単価は795万円だったが、23年9月以降現在までの平均は1465万円といきなり倍に跳ね上がっている。
相場高騰のスイッチを押したのは「高値つかみ」をした外国人だった。「4億円で部屋を買った中国人がいて、その成約実績を見て『いける』と部屋をその値段で売り出すオーナーや仲介業者が増えたようだ。極端な成約価格が相場の基準になってしまった例だ」とスタイルアクトの沖有人代表は指摘する。
同じような「異常な高騰」は都内のマンションのあちこちで起きている。18年に平均坪単価900万円程度で発売されたパークコート赤坂檜坂ザ タワーの中古は、24年10月には最高で5256万円の坪単価が付いた。3.3平方メートルで郊外のマンション1部屋並み、物件価格は20億円だ。人気の湾岸タワマンであるパークタワー勝どきも、21年の第1期には坪単価420万円で売り出されていたが、25年現在はその倍以上の1000万円で取引されている。
一般的なサラリーマンにとって、到底手が届かない水準に達した都心マンション。どうしてこうなったのか。そして、今後マンション市場はどうなっていくのか。どんなエリアが上がり、どんなエリアが下がるのか。自宅としてマンションを買いたい人は、どうすればいいのか。次ページで詳しく見ていこう。