実際にトヨタと日産は、米国におけるDEI推進の活動方針を取り下げました(日本経済新聞1月8日)。トランプ政権に対する配慮だと思われます。とはいえ、DEI推進をやめるのであれば、生き残るために経営スピードを上げるきっかけにすべきでしょう。

ANOBAKA 代表取締役社長/パートナー
KLab株式会社入社後、BtoBソリューション営業を経て、社長室にて新規事業開発のグループリーダーに就任。その後、2011年12月に設立したKLab Venturesの立ち上げに携わり、取締役に就任。2012年4月に同社の代表取締役社長に就任。17社のベンチャーへの投資を実行する。2015年10月にKVPを設立、同社代表取締役社長に就任。KVPでは5年間で80社以上のスタートアップへ投資。2020年12月ANOBAKAを設立。
自社を取り巻く環境を分析して、DEIをどの程度進めるのかを判断するのは経営者の重要な仕事です。そして、このバランスは経営者のセンスに依存します。
DEIの後退は、アメリカで先行して始まりました。欧州の政府や企業は冷ややかな態度を示しています。一方、目下欧州ではドイツやフランスで右派政党が台頭しており、保守色が強まっています。DEIの後退も時間の問題かもしれません。
ただし、繰り返しますが、「欧米企業に倣え」という理由で短絡的にDEIを後退させることがあってはいけません。あくまでも、自社を取り巻く「環境」や「事業の現在地」などを考慮して、それぞれの会社が絶妙なバランスを模索することが重要です。