
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、金属製品業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#15では、金属製品業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで15人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
金属製品業界で年収1億円以上の幹部15人の実名
トップは従業員平均年収と44倍の格差!
金属製品業界の一般従業員の年収は、決して高くない。業界大手のLIXILの平均年収は686万円で、ほとんどが600万~700万円台にとどまっている。
一方、同業界で年収1億円以上を受け取る経営幹部は15人いる。
では、その金属製品業界で「年収1億円以上」の経営幹部たちは、従業員の年収の何倍をもらっているのだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは金属製品業界だ。
金属製品業界の「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収と格差が大きいのは誰なのか?
トップはLIXILの瀬戸欣哉社長だ。MonotaROの創業者であり、いわばプロ経営者として同社に移った。2018年には創業家とのゴタゴタにより突然解任され、後に機関投資家とタッグを組んで会社側と闘い、社長に返り咲いたという異色の経歴の持ち主だ。
同氏は3.05億円の年収を受け取り、一般従業員との格差は44.44倍だった。LIXILからは他の幹部もランクインしていて、上位を独占している。
LIXIL、RS Technologies、SUMCO、ジーテクト、三和ホールディングス、エスイー、文化シヤッター、ニッパツといった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。